今では厚生労働省が普及促進するようになり、
世の中の認識や実態が、大きく変化してきた、副(複)業。
私も、副(複)業にはメリットがあると、思っています。
その一つは、雇用されて働く社員が、
改めて「自分の市場価値」というものに直面することです。
これについては、すでに、
書かせていただきました。
しかし私は、副(複)業は、
実は何よりも、大きく社会にとってのメリットに、
つながると考えています。
平均寿命がのび、少子高齢化がすすむなか、
一人ひとりがより長期間仕事をすることを通じ、
一人ひとりの価値観や状況に応じつつ、支え合うことは、
人口構造という大きな環境の変化に応じた、
社会のいわば必然です。
ところが、変化のスピードがものすごく早い今、
長い「仕事人生」を、1つの専門分野だけで乗り切っていくのは、
なかなかにして難しい。
あたりまえですが、ニーズがないところには仕事がなく、
ニーズに応えられる人でなければ、収入は得られません。
つまり、人生100年時代には、
社会のニーズの変化に応じ、
あるいは、例えば体力など自分自身の変化に応じて、
一人ひとりが柔軟に仕事を変えていけることが、
個人にとっても、
あるいは、そうした個人を雇用する企業にとっても、
とても大事になるわけです。
その切り替えを、
収入を保持しながらスムーズに行っていくには、
しかも「自分がやりたい」と思う方向で行っていくには、
副業(複業)により、助走期間を持つことが、
とても有効だと思うのです。
実際、「人前で話すこと」に関する私の恩師は、
85歳を越える今なお現役のセミナー講師として登壇し、
全国に彼を慕う教え子を創り続けていますが、
彼の半生は大手企業の財務部門の会社員であり、
最後は経営トップとしての活躍でした。
ところが恩師は、そうしたメインストリームでの仕事の傍ら、
「話し方」というまったく別の分野でのキャリアアップをはかり、
社長退任と同時にスムーズなキャリア転換をしていったのです。
恩師はこう、話してくれました。
「仕事を通じ、新たな人と出会い続け、
人に喜ばれ、人の役に立ち、長年の友を得て、
生きる糧(お金)と、生きる価値(生きがい)を得る。
これを続けるためにも、心身の健康に気をつけ、
何より人に感謝して生きている。
こんなに幸せなことはない。
パラレルワークは、
長い人生を確実に豊かにしてくれると思うよ」
色々な面で、かつての「あたりまえ」が
あたりまえでなくなってくる今後。
一人ひとりが心穏やかににこにこと、
支え合いの輪の中に入り、支え合っていける、
そんな世の中になったらいいな、と、思います。
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