

<< 目次 >>
第1回 登録で4時間、オーブントースターを持ち帰る!?
 第2回 「マネキン」、売り場でピザを焼いて売る
 第3回 マネージャーの「評価コメント」に愕然
 第4回 「日雇い」ゆえの疲労・ストレスと、仕事意識
 第5回 スーパー2社の「大違い」
 第6回 マネージャーに「はなまる」もらった!
 第7回 驚愕の給与支払い「消えた私の9000円(涙)」
 第8回 私が独立を決めたわけ~「職場はもっと笑顔になれる!」
 終わりに 労働者はみんな「人」である
はじめて経験した、試食販売の日雇いパート。
2日連続の慣れない仕事に、
 我ながら情けないくらいに、ダメージを受けました。
 10キロくらいのジョギングは平気な自分が、
 2日目の夜、駅までの1.5キロを、歩き切れないほどになるなんて。
 思いもしないことでした。
・・・でも!
パートですから、お給料がもらえます\(^o^)/
 新卒で就職後ずっとフルタイムで働いてきた我が身には、
 毎月の給与振り込みとは別にもらえるお給料も、
 実は「二重に」楽しみでした。
 「二重に」というのは・・・
 私が勤務した12月中~1月初旬は、試食販売のいわゆる最繁忙期。
 この期間中の休日に勤務すると、
 通常のお給料のほかに、別途お手当をいただける仕組みだったのです!
しかもその勤務日数が多いほど、手当の額も高額に。
 これに(も)魅かれて応募した私は登録説明会で、
 当日渡された「就業日程別お手当表」とにらめっこ。
 2日間入ると、1日につき実に4500円がプラスされる、
 天皇誕生日とクリスマスイブに働くことに決めました。
 だって、そもそもの賃金は、実働7.5時間で、一日7500円なんですよ?
 クリスマスに寂しい思いはするけれど、
 これにプラスオンされる一日4500円は、「お・い・し・い!!」。
 それにしても、日給7500円に対し、手当4500円にはびっくりです。
私は求人広告会社の出身で、
 土日や年末年始など「誰もが家族や恋人と過ごしたい日」の
 労働者集めが大変なことは、身に染みて知っています。
 その、労働者集めの手段として、
 休日出勤手当をつけることは、常套手段であり、当たり前。
 ただ、今回の場合、そのバランスが引っかかる。
要するに、
 ・労働に対する評価額が7500円。
 ・市場原理による評価額が4500円。
 これって、ええっと・・・
等、考えすぎると、逆に働く意欲が削がれそう。
 なので、労働需給のひっ迫が、
 労働コストをここまで押し上げる状況に、
 企業側の苦労を改めて痛感しつつ、
 ここは、労働マーケットを構成する一労働者として、
 ごく単純に、
 「2日で9000円プラス!? わーい、うれしい!!」
 と感じるままに、
 ありがたくその恩恵に浴することにしました。
そう。
 2日間、立ちっぱなし、叫びっぱなしで、
 自分で自分をほめたくなるくらい生真面目に頑張った裏には、
 「お給料+高額お手当」というニンジンも、
 実は存在していたことを、ここに開示いたします。
そのお給料は、指定の勤務報告書を試食販売会社に郵送し、
 これが受理されてからでないともらえません。
 勤務報告書とは、
 このブログですでにご説明している、フォーマット。
 いつ、どこで、何をいくつ試食に出した結果、
 どれだけ売れたかという実績を書き、
 マネージャーに、自分の仕事ぶりを評価しサインしてもらう、
 「マネージャーにはなまるもらった」、あの書面です。
 しかも受け取りは、登録会の行われた試食販売会社に、
 自ら出向いて「いただく」のが基本です。
振り込みも選べますが、受け取りが大幅に遅れます。
 それでも、本業がそれなりに忙しかった私は、
 試食販売会社に再度出向く時間を惜しいと思い、
 登録時に「振り込みにしたいのですが」と申し出たのですが、
 すんごくイヤそう~な顔をされ(たような気がして)。
 思わず怯み、「取りに行くのも経験のうち!」と思い直して、
 自ら出向くことに決めました。
で、そのお給料。
 規定によると、
 12月23日・24日に就労した分の支払開始は、
 1月上旬過ぎとなっています。
 これを待ち、いそいそと「いただきに」いきました。
 ピザ焼き用のオーブントースターなどが雑多に置かれた
 試食販売会社の長い受付カウンターで、
 自分の名前と、私にあてがわれた固有の登録ナンバーを申し出ます。
 すると、登録時にもいたキンキン声のお姉さんが
 裏のオフィスから小銭の音がする茶封筒を、
 もってきてくれました。
 その、中身を両者で確認し、
 私がサインをすることで、受け取りは完了。
・・・なんですが。
 受け取り側の控えとなる「受領書」に記載された金額は、
 1万8✕✕✕円となっています。
 これは、家から遠く離れたスーパーへの往復の交通費や、
 当日の試食販売で使うため、現地で立て替え購入することになっている
 ウエットティッシュやアルミホイル、爪楊枝代などの経費も含まれた金額です。
 「・・・んんん?」
 いかに計算に弱い私でも、このくらいの算数はできる。
 1日の労働対価7500円✕2日間=1万5000円。
 2日間の経費約3000円。
 つまり、1日4500円✕2日間=9000円の、
 待望のお手当が含まれていない!?!
これは大変! 一大事!!
 きっと忙しくて、間違っているんだわ!!
 と思った私は、自信満々にたずねました。
 「この2日間に働くと、別途お手当をいただけるお話でしたが?」
すると・・・
お姉さん「いいえ、確認しましたが、あなたはこの金額です」
 私 「え(疑)? この2日間に働くと、確か一日4500円プラスだったはずですが」
 お姉さん「いえ、あなたは、手当はナシです」
 私 「え(驚)!? どうしてですか?」
 お姉さん「勤務報告書の提出が遅れましたよね?」
 私 「え(怒)!! 2通まとめて、翌週半ばには投函しましたが」
 お姉さん「それではダメです。勤務翌日の消印でない場合、手当は支払われない決まりです」
 私 「え(愕)!?! そんなこと聞いてません・・・っ」
 お姉さん「説明会で、ちゃんとお伝えしてますよ。ともかく決まりだからダメです!」
 私 「ええー・・・(涙)。そんな」
確かに、労働対価と、そこにかかった経費はちゃんと支払われています。
 (細かく言えば、試食販売用の三角巾やエプロン、
 キッチンハサミは自腹で購入させられましたが)
 手当が、その会社が独自に決めるものであると思えば、
 そこに厳しい支払ルールが存在していても、
 問題ないのかもしれません。
でも、でも! でも・・・・!!!!
 投函がたった一日遅れただけで、9000円がフイだなんて。
 そんなことがあるなんて。。
 それなりに人生経験も積んできましたが、
 これが社会なのか? と、厳しさに打ちのめされた感覚です。
 同時に、なんとも割り切れない思い満載で、
 試食販売会社を、とぼとぼ後にしたのでした。
西伊豆観光みかん園で働いてみた【平田未緒のパート労働体験ルポ】
2017 07 02
取材・文/働きかた研究所 平田未緒 12月1日(日)の朝8...
働くことは、生きること【個人事例にもとづく考察集】第1回~第12回
2017 07 01
私が実際に出会った、さまざま...
試食販売「日雇いパート」経験から見えたもの【平田未緒のパート労働体験ルポ】[おわりに]
2017 06 30
<< 目次 >> 第1回 登録で4時間、オーブントース...


