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働き方コラム

試食販売「日雇いパート」経験から見えたもの【平田未緒のパート労働体験ルポ】第5回

 

第5回 スーパー2社の「大違い」

「自分もパートで働いてみよう」
そう思ってチャレンジした、
クリスマスイブを含む2日間の試食販売。

 

 

それぞれ違うスーパーで、
違うモノを売ってみて、思ったこと。

それは、

「同じスーパーでも、こんなに違うものなのか!」

ということでした。

 

 

何が違うって、まずはセキュリティ。
初日のスーパーは、通用口に守衛室はあるものの、
中に人影はなく「誰でもどーぞ」に等しい状態。
ところが2日目のスーパーは、
入館届けに名前や所属、その日実際に働く部署などを記載して、
その日限りの個人用カードキーをもらわなくては、
スーパーの中に入れません。

 

 

しかも、スーパーの内部に入るには、
通路に並んだ「外部スタッフ専用」ロッカーに、
すべての持ち物をしまうルール。
やむなく通路の隅で、上着を脱ぎ、
エプロンをつけ、おでこ丸出しスタイルに三角巾を装着。
試食販売に使う、自宅から持ち込みの皿、
ハサミ、クロスなどだけ、紙袋から取り出します。
準備が整い、いよいよ入店。
カードキーで操作して、重い扉を開けて中に入って、またびっくり。
「うわ・・・でかっ!」が、違う点の2点目です。

 

 

まずは、物理的な広さ。そして、働く人の多さ。
それらすべてがあいまった大きさが半端ないのです。
しかも、さまざまな商品・作業用品が壁に沿って隙間なく並ぶ間の通路には、
全身に白衣をまとった人、
スーツにエプロンをつけた男性、制服姿の女性や作業服の人などに加え、
トラックが横付けされる搬入口近くでは、
ネコのマーク、飛脚のマークなど、多様な外部の人たちまでが、
ぶつかるようにして、行きかっています。

 

 

そんな、予想外の規模にひるみ、
「どっちに行ったらいいの?」
「うそっ、ここも違う」「遅刻したらどうしよう・・・」など
思わず泣きそうになる焦りのなか、
目指す惣菜部をようやく見つけ、
今日指示を受ける「担当マネージャーさん」を探し当てたときの安堵感。
17年間同じ会社の社員として、同じ職場に通い続けた私が、
いつしか忘れてしまっていた、感覚でした。

 

さて。

ようやくたどり着いた先で、
今日私が売るのは「フライドチキン」。
惣菜部にある業務用フライヤーで大量に揚げられたそれを、
「楊枝でギリギリ刺せる」くらいの“小ささ”に切り、
持参したカレー皿二つにテンコ盛りにしては、
売り場に出て、お客さまに「お勧め」し「買っていただく」のが仕事です。
折りしも、その日はクリスマスイブの当日です。

 

まさに「年に一度、最大の書き入れどき」。
売り場の客足もさることながら、厨房の熱気が、ともかくすごい。
チキンやポテトのセットやら、パック入りのパエリアやら、
中華系のさまざまなお惣菜まで、
揚げる人、炒める人、詰める人、売り場まで運ぶ人、調理器具を洗う人・・など、
さまざまな人の連携プレーで、あらゆる作業が進んでいきます。

 

 

そんななか、一人「厨房初体験」のワタシ。
怖気づく気持ちを奮い立たせ
「すみませーん! フライドチキンの試食販売に来ました!」
とまずは挨拶。
その勢いで作業スペースを確保して、
「試食品」づくりにいそしみました。
ザーッッ、ジュワジュワジュワ・・・
自分のまさに真後ろで、盛大に揚げられていくフライドチキン。
これを、「ちょっと冷まして」、試食用にさばきます。

 

作業は業務用の薄い調理手袋をはめて行うものの、
揚げたてチキンは、包丁を入れた瞬間、
脂がしみ出し、「ぎゃ! アチっ」。
手をかばいつつ、
持参した我が家のカレー皿2枚分の「テンコ盛り」を、
ようやく作り終え売り場に行くと、
きちんとまだ設置もできていないそばから、
お客さまの手が、伸びる、伸びる。
あっという間に、てんこ盛りのふた皿が空になり、また厨房へ。
作業台確保、「ぎゃ! アチっ」の格闘を繰り返し、
ようやくテンコ盛り二皿分作りあげ、また売り場へ。

 

 

・・・を、何度も繰り返すうち、気がつけば昼。
「食事は、社員食堂でとってください」の指示を受け、
ほっと一息、行こうとしたら・・・
なんと、迷ってしまって、たどり着けない。
何度も人に聞き、泣く泣くたどり着いたと思ったら、今度は、
「お財布がない!?」。
「あ、しまった、ロッカーだ・・・」。
泣きたい思いで延々戻って、一度店の外に出て、ロッカーに。
急いで再入店しようと思いカードキーをかざしたところ、
まさかの「エラー」。

 

 

「え? え? ええ?!」
焦って操作を繰り返すも、
分厚い扉はウンともスンとも反応せず。
仕方なく、守衛室までさらに戻って事情を話すと、
私の「操作ミス」とのこと、
キーを初期化してもらって、ようやく入店。
バックヤードをぐるぐる回って社員食堂にたどり着き、
「やっとゴハン」と思いきや・・・
自販機で食券を買おうとお札を出したら、
ななんと「1万円札は使えません」。
実はさきほどお財布から、
「小銭では不安」との判断のもと唯一のお札「1万円札」を抜き出し、
ポケットに入れた私。

 

 

「うっそー・・・」
「そこを何とか・・・!」
すがる思いで食堂の人に相談しても、
「社員はプリペイドカードだから、
そもそも現金はあまり扱わないんだよね」とのこと、
結果は「無理」。

 

 

泣く泣くロッカーに戻り、
ありったけの小銭をポッケに再度社員食堂へ・・
この間、ご丁寧にも、「もう一度カードキー操作エラー」やらかして、
ようやく「ごはん」にありつけたころには、
「休憩開始」後、30分近くが経っていました。

 

 

 

【第6回 マネージャーに「はなまる」もらった!】へ続く

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