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働き方コラム

試食販売「日雇いパート」経験から見えたもの【平田未緒のパート労働体験ルポ】第4回

 

第4回 「日雇い」ゆえの疲労・ストレスと、仕事意識

 

試食販売の日雇いパートは、2日間。

1日目は、東京都に隣接する○○県の地元密着型スーパーで、
チルドピザをせっせと焼いては、売りました。
翌2日目は、都内の大型ショッピングセンターに入っている、
業界最大手クラスのスーパーです。

 

ここでは、フライドチキンを売りました。
1日目の詳細は、すでに記したそのまんま。
2日目の詳細は、書き始めると長くなるので、
また後日に譲ることとして、、
今日は2日間の日雇い体験から、
私自身が感じた“雇用形態に基く仕事意識の必然”について、
書いてみようと思います。

 

 

こう聞いて、
「たった2日の経験で、えらそうに何がわかる?」と、
感じた方もいるでしょう。
否定しません。その、とおりだと思います。
でも、たった2日であったとしても、
経験してこそ見えたことが、確かにあったのも事実です。
それが何だったのかを、単純にお伝えできればと思いました。
「日雇いパート」を体験して感じたこと。それは・・

 

 

第一に、
「常用」ではない「日雇い」ゆえの心身の疲労とストレスが、
確かに存在したということです。

 

試食販売パートの2日目、
都内大型スーパーでの仕事を終えたあと、
最寄駅までの1キロ弱を、実は歩き切れませんでした。
普段から、10キロ程度は走れる体づくりをしていますが、
あまりの疲労に、途中で足が止まってしまうのです。
なぜ、ここまで疲労困憊してしまったのか。

 

理由は「慣れない立ち仕事」だけではないと思います。
そうではなく、
毎日が「トイレの場所も分からない」新たな職場
ということのストレス。
指示を受けるマネージャーさんはじめ全員が
「初めて出会う」人たちであり、
日々、新たな人間関係のなかに、外部から一人で入っていくことも、
想像外のストレスでした。

 

 

第二に、仕事を頑張ること、
職場の人と積極的にコミュニケーションを取ることへのインセンティブが、
極めて薄いということです。

 

今回、私は、

「自分の存在価値を出し」「少しでも認めてほしい」という純粋な思いから、
「笑顔で」「明るく」「しっかりあいさつ」することを、
2日間ずっと心がけました。
「昼休みを削り」「サービス残業」までして、
少しでも心象を良くしようと努めました。
なのに、1日の労働を終え相手からもらった言葉は
「思ったより売れなかったね」。
たったひとこと、それだけです。

 

 

繰り返しになりますが、
売れないのは、その日298円で試食販売したのと同じピザを、
前日に折込チラシの目玉商品扱いで、
198円で特売していたことと無関係なわけがありません。
詳しくは追って書きますが、
2日目の夕方など、
見込み違いで昼に大量に揚げすぎた残り物の、
すでに冷え切ったフライドチキンを
「試食で使え」と指示されて、
あげく「売れないのはあんたの責任」のごとく
言われる理不尽さも味わいました。
「(こんなものはお勧めできないから、せめて)温め直しをしてください」
という決死の提案は「無理」と無視され、
仕方なく油が黄色く固まったチキンを勧めても、
「ぎゃ、冷たい」「まずい」と言われるばかりで、
売れるわけなどないのです。

 

 

今回「日雇いパート」を経験し、
次回も「笑顔で」「明るく」「しっかりあいさつ」し、
「昼休みを削り」「サービス残業」までするような姿勢で、
同じ仕事に臨めるかといえば、疑問です。
そもそも「マネキンさん」「お姉さん」と呼ばれて終わる、
一日こっきり、表面だけの人間関係。

 

今日限りの職場であれば、
「今後のため」仕事で評価される必要はありません。
所詮、二度と会わない人たちと、
良い人間関係をつむいでおく必要もありません。
「であれば、上手に手を抜いたほうがわが身のため」
・・・こう考えるのは、
ある種の必然だろうと思ったのです。

 

 

もちろん「どんな勧め方をすれば売上が伸びるか」など、
試食販売道(?)を極めようとする、
意識の高いベテランも、中にはいらっしゃることでしょう。
でも、今回は、試食販売の仕方も、商品知識も、
ごく簡単なペーパーを渡されただけ。
「これ読んで、あとはよろしく」と放り出され、
行った先の現場では「売れないのはあんたのせい」と言われるなかで、
「仕事意識を高くもて」と迫られても、難しいことだと思います。

 

 

といって、
「だから日雇いはダメなんだ」「短期契約はイケナイ」などと、
言うつもりはありません。
そうではなく、
「せっかくの労働力を活かす」ためには、
こうした特性であり必然をはらんだ形態だということを、
きちんと踏まえた上でのマネジメントが重要だということです。
そして、それこそが、私が常々お伝えしている
「相思相愛マネジメント」なのだと、今回改めて思いました。

 

 

【第5回 スーパー2社の「大違い」】へ続く

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