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働き方コラム

試食販売「日雇いパート」経験から見えたもの【平田未緒のパート労働体験ルポ】第1回

取材・文/働きかた研究所 平田未緒
 
 
私は、パート・アルバイトの雇用管理や女性の働き方について、長年取材をしてきました。女性の働き方に関しては、自分自身の働き方や、その時々に感じ考えてきたことが、そのまま一つのケースになり得ます。これはテーマの当事者である一つの大きなメリットです。
 
 

では、パート・アルバイトについてはどうか? と、ある日ふと考えてみたら・・・「ない」。正確には「ある」のですが、実に学生時代のアルバイトにさかのぼることに気づきました。

 

「これって、パート・アルバイトの雇用管理を扱う者として、どうなんだろう」。…と考えたことをきっかけに、私自身が日雇いパートで働いてみることに。

 

そこには、大変に多くの気づきがありました。すべての当事者になることはできませんが、それでもなお「当事者になってみる」「体験してみる」ことで得るものの大きさを、深く感じた2日間となりました。

 

第1回 登録で4時間、オーブントースターを持ち帰る!?

実は2012年の暮れ、
「パート・アルバイトが専門とうたっている以上、
自分でもパート・アルバイトとして働いてみるべきでは?」
という問題意識から、
求人サイトで探した単発の仕事「デモンストレーター」に応募しました。
要するに、スーパーの試食販売の仕事です。

 

スーパー各社や食品製造会社からの依頼を受け、
「○月○日、××スーパーで △△という商品を試食販売する」
業務を大量受託している会社に登録し、
自分の都合がいい日を選んで、試食販売業務に就くのです。
折しも、最繁忙期の年末は、試食販売の仕事も目白押し。
履歴書の持参も不要とのこと、
求人サイトから「登録・説明会」の予約をし、
指定された「会場」に行きました。

 

ちなみに、しごとは、一人ひとり名前を呼ばれ、紹介されます。
その呼ばれる順番は「受付順?」「五十音順?」・・・「年齢順だ!」
途中で気付き、必然的にさんざん待たされ、呼ばれたのは後ろからン番目。
残っていたのは、自分と同世代以上の、
あえてその場の印象だけで表現すれば「くたびれた感じの」女性たち、でした。
その、登録が終わるころには、時計の針も22時を回っていて。
「うっそ、4時間拘束。中身の半分は教育訓練だったけど、ここに時給は発生しないよね」

 

その週末、天皇誕生日に某スーパーでチルドピザ、
クリスマスイブに別のスーパーでフライドチキンの試食販売をすることになった私は、
ピザを店頭で焼くための「オーブントースター」の貸与を受け、
肩掛けの巾着状ビニール袋に入れたそれを、ガチャンガチャン言わせながら、
疲れ果てた頭と体を引きずって、寒空の下、家路についた・・のでした。

 

 

【第2回 「マネキン」、売り場でピザを焼いて売る】へ続く

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