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働き方コラム

パートさんが長く頑張っている会社がしている「たった一つ」のこと 第5回

 
パート・アルバイトに定着してもらうには、いったいどうすればいいのか? これについて、静岡の店長・人事担当者のためのお役立ちサイト「ヒトクル」に平田未緒が執筆した記事を、同サイトのご厚意のもと、転載しています
 
 
 

第5回 「盛り」すぎていませんか?面接で早期離職を防ぐ方法は?

 

なぜ早期離職をしてしまうのか?

 
最近、「採用したスタッフが一週間で来なくなった」「初日だけ来て、その後は電話にも出ず、音信不通になってしまった」など、“超”早期とも言える離職に悩む声を聞くようになりました。
 
そこまで行かずとも、3カ月や半年など自社戦力としてまさに「これから」というときに、退職を申し出てくる人も少なくありません。
 
会社にとっては、お金をかけて募集広告を出し、面接を重ね、ようやく採用した人材です。1週間でいなくなってしまうなどはもとより、「ようやく仕事に慣れてきた」「少しは任せられるようになった」という段階まで育てた人に辞められるのは、相当につらいものがあります。
 
でも、いったい、なぜ、彼らはやめてしまうのでしょうか。
 
もちろん夫の転勤や、親が急に要介護状態になってしまうなど、やむにやまれぬ事情があり、きちんと伝えてくれる人も多くいます。半面、職場に何か問題があって辞めたいと思った場合、私がパート・アルバイトさん個人に取材した経験からは、多くの場合、彼らは本当の退職理由を語りません。
 
そうではなく、「家の事情で・・」「急に忙しくなって・・」など、当たり障りのない理由が語られることがほとんどです。なぜなら、かれらの希望は「あとくされなく」「すっきり」と辞めること。本当の理由を伝えることで、禍根を残したくないのです。
 
 

早期離職の真因は「予想」と「現実」のギャップ

 
いずれにしても退職は、理由があって発生します。そう思わせる何かが職場にあったのです。なぜなら、1カ月や3カ月など最初から短期希望の場合を除き、そもそも1週間や1か月で辞めるつもりで、応募などしてこないからです。まして交通費や時間をかけ、労力を使って、わざわざ面接に来はしません。
 
では、何がいけなかったのでしょうか。真の理由は、当人にしかわかりません。
でも、一つだけ言えることがあります。「想像していた」「期待していた」職場と違った、ということです。結果として「その職場で働き続ける意味や意義、あるいは自信がなくなってしまった」のです。
 
こうした事態を避けるには、本人の「予想」と、「実際」とのギャップを埋めることが必要です。埋める方向性は二つあります。
 
第一に、期待値を上げすぎないことです。つまり、「どんな職場なのか」「どんな仕事をしてほしいのか」など、飾らない事実を、募集広告や面接などで、きちんと伝えておくことです。
 
採用が難しくなればなるほど、これを躊躇する気持ちもわかります。でも多くの場合、きれいごとだけ伝えて採用しても、良い結果は生まれません。定着せず、あっと言う間に辞めてしまえば、採用した意味がないのです。
 
第二に、新人のケアをきちんとすることです。ギャップに戸惑う新人を、きちんとフォローする体制を作るのです。
 
 

大切なのは、「ここで働きたい」と思ってもらうこと

 
まずは、第一の方法、期待値を上げすぎない面接方法について解説しましょう。
ただし、期待値を上げすぎないことが大事とはいえ、自社で働く意欲を失わせてしまってもいけません。要はそのバランスです。
 
ここで思い出してほしいのが「相思相愛」の考え方。面接は、一緒に働き「相思相愛」になれる相手かどうか、互いに見定める場だということです。
 
※「相思相愛」についての記事は 第一回 「たった一つ」のこととは・・・相思相愛マネジメント
 
一般的に面接は、応募者が自社の「欲しい人材像」に合っているかどうかを確認するために行うとされてきました。どちらかといえば「チェック」「ジャッジ」の視点です。もちろんその観点も重要ですが、採用できない今、より大事なのは応募者に「ここで働きたい」と思ってもらうこと。
その際、自社を「盛り」過ぎず、できるだけ事実を飾らず伝えていくことが、早期離職を防ぐためには重要だということです。
 
やりがいは現場から生まれます。その現場を飾らずリアルに、でも魅力的に伝えることが大事です。その現場で、「あなたと共に頑張り、お客さまからのご支持を得ていきたい」想いを、すでに面接のときから伝えていくのです。
 
 

「魅力」と「現場・現実」を共に伝える

 
具体的に説明しましょう。
 
まずは「入社したら、何が得られるのか」つまり、求職者にとってのメリットを伝えます。高賃金を用意できる場合はそれも大きなメリットですが、「自己成長」や「やりがい」「参加・参画できること」も、意欲ある応募者には魅力的に響きます。
 
同時に自社の仕事の「価値」や「意義」もぜひ伝えてあげてください。つまり、自社で働くことで、社会のどんな役に立ち、誰に喜んでもらえるのか?ということです。これは、多くの場合説明しなければわかりません。採用担当者が、自らの実感や実体験をもとに、熱く語ってあげることが大事です。
 
なお、仕事の内容については、できるだけ具体的に伝えることが大切です。応募者が「自分が働いている姿を想像できるくらい」リアルに話してあげましょう。それが、入社後のミスマッチを防ぎます。
 
実際、ある工場では、それまで面接を会議室で行っていたところ、面接時間の半分を工場見学に変えました。つまり、入社後働くことになる工場に応募者を連れていき、そこで仕事の説明をするようにしたのです
 
いわゆる「3K」職場だったため、見学により辞退者も増えましたが、半面、早期離職も激減したといいます。
 
今回は早期離職を防ぐ第一の方法についてご紹介しました。次回は、第二の方法「新人ケアをきちんとする(入社時フォローで早期離職を防ぐ方法~チェックリストを活用しよう。)」についてご紹介いたします。

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