取材・文/働きかた研究所 平田未緒
同社のサービスを利用する、有限会社EOS plus(イオス プラス)代表取締役の遠藤和広さんは話す。
有限会社EOS plus(イオス プラス)代表取締役 遠藤和広さん
「当社は、店舗から住宅、公共建築物まで、建築設備の設計やコンサルティング、
照明デザインなどを行う会社です。その建物を利用し、生活する人になりきることで、
センスよく真に快適な空間づくりをめざしています。
いわゆるモノを売る商売ではないため、毎月の請求など経理・財務の業務は特殊で複雑、
わかりづらいのが難点です。
ところが、これを一手に担当していた女性社員が、産休・育休に入ることになって・・・。
不在中の対応をどうするか困っていたところ、
当社の顧問税理士の先生に、シニア経理財務さんのサービスを紹介されたのが発端でした」
イオスプラスの社員は皆、設計・デザインの専門職。
社員数9人の小所帯でもあり、
社内に産休・育休に入る女性社員の仕事を引き継げる人材はいなかった。
「当社のような規模の会社が、
建築業界での経理経験者をピンポイントで雇うことはほぼ不可能です。
これまでも、一般事務の経験しかない人を採用し、
時間をかけて、なんとか育成してきたのが実際でした。
今回、ようやく育った優秀な人材が、1年以上にわたって不在となる穴は大きく、
途方に暮れていたのです」
といって復帰が見込まれる以上、新たな社員を雇って一から育成することも不合理だ。
つまり、経理・財務業務に特化したベテランのスキルを、
期間限定で利用できるシニア経理財務のサービスは、一見うってつけであり、
税理士の説明には整合性が感じられた。
「そこで、まずは富澤さんに、税理士の先生と一緒にお会いしました。
その際、委託したい業務の内容や、
20~30代の専門職社員がほとんどという社内環境もお伝えしました。
富澤さんには『大丈夫。もっとも適切な方に受託させます』とは言っていただきましたが・・・
正直なところ信用していませんでした。
女性社員が産休に入る時期的な問題もあり、サービスの利用は決めたものの、
実際に業務を受託してくれることになった小林正明さんの、
67歳という年齢を聞いて、『本当に大丈夫なの?』と思っていたのです」
ところがこれが、まったくの杞憂だったことが早々に判明する。
「まずはパソコンのソフトです。
『同じソフトの経験はないが、マニュアルを見ればわかると思います』というご発言通り、
すぐに使いこなされました。
毎週はじめのミーティングで使う、自社業務の進行状況を一覧にした複雑な表も、
難なく理解し、各担当者にヒアリングしながら、正確に作成・用意してくれます。
毎月120件に及ぶ見積もり書や請求書、契約書などの発行も、漏らさずやっていただけています。
お願いして4か月になりますが、実はすでに
『小林さんにはずっと当社にいていただきたい』と思っているほどなんです」
シニア人材を受け入れた一級建築士事務所 イオスプラスの社内
経理・財務担当女性社員が産休・育休を取得している間、
シニア経理財務に仕事を依頼する、
有限会社イオスプラスの代表取締役遠藤和広さんが同社のサービスを絶賛するのは、
実際に同社の仕事を受託している小林正明さんが、
「産休社員の代替業務をこなせている」からではない。
仕事の密度が圧倒的に高いのである。
「小林さんの勤務は週5日、朝10時から16時までの、実働にして5時間です。
文房具の購入など、かつて女性社員が行っていた総務系の
細かな補助業務は委託内容に含まれていませんが、
とはいえ女性社員が1日8時間かけて行っていた業務を
1日5時間ですんなり回してくださっているのには驚きました」と遠藤さん
「しかも、当社の社内で業務を遂行したいとのこと、
当社の若手社員との交流が自然とできてくるんですね。
小林さんには、経営者である私では乗れない社員のキャリア相談などにも、
気さくに応じてくださっているようで、本当にありがたく思っているんです」
「ここまでやってくれる小林さんを手放したくない」
こう考える遠藤さんは、
「女性社員の復帰後も、小林さんに続けてもらえる業務態勢作り」を、
真剣に考え始めているという。
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