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働き方コラム

働きたい高齢者と中小企業のニーズを結ぶ【(株)シニア経理財務】第1回

取材・文/働きかた研究所 平田未緒 

 


株式会社シニア経理財務 代表取締役社長 富澤一利さん

 

◆社名 株式会社シニア経理財務
◆設立 2013年
◆資本金 1000万円
◆売上高 4000万円(2015年3月見込)
◆経常利益 300万円(2015年3月見込)
◆従業員数 1名
◆登録者数 120名
◆事業内容 シニアに特化した「経理財務経験者」人材サービス(業務請負)
◆所在地 東京都千代田区神田多町2-9-6 田中ビル2階
◆ホームページ http://senior-keiri.jp/company/
※情報は取材時(2014年)のものです

 

<< 目次 >>

第1回 66歳の社長自身が「再就職できなかった」経験を発端に
第2回 経理・財務業務を、時間単価2000円で受託する
第3回 顧客の声~なぜシニア経理財務を利用したのか?
第4回 働く高齢者の声~時給1,500円で得られる高いやりがい

 

経理・財務業務の実務経験に長けたベテランシニアと、
経理・財務業務の人材不足に悩む中小企業をマッチングさせるサービスが、
口コミで広がりを見せている。
2013年4月、人材派遣業で25年の歴史を持つ
スタッフアイのグループ会社として設立された、
株式会社シニア経理財務が始めたサービスだ。

 

 

働き手は、全員が60代。
「経理財務業務を主に担当し、長年企業で働いてきた」年金受給者たちであり、
これから正社員で雇用されることや、昇進・昇格等などは望まない。
それよりも、「過去に得てきた知識や経験を活かして、社会に役立ちたい」労働力。
そうした労働力が、「経理の女性が産休・育休に入ってしまう」「急に辞めてしまった」など、
経理・財務業務における突発的・部分的な人材不足を抱える中小企業にフィットした。

 

 

実際、シニア経理財務のサービスを利用する、ある企業の社長は、こう話す。
「67歳という年齢を聞かされて、正直、最初はこう思ったんです。この人で本当に大丈夫なの? って。
でも、すぐ、それが杞憂であり、思い込みによるものだとわかりました。
今は、お願いして本当によかったと思っています」
少子高齢化による労働力不足が心配されるなか、
これを補い日本が活力を保っていくための労働力として、女性と高齢者に注目が集まっている。

 

 

なかでも高齢者は、今後年々人数が増えていくことが確実だ。
にもかかわらず「働きたいが、働かない」高齢者が少なくない。
「働きたい」気持ちはあるが、望ましい就労先が見つからないため、「働かない」。
結果、労働力化されていない人たちだ。

 

 

そんななか、シニア経理財務は、
働く側と企業側双方にとって満足・納得のいく「相思相愛」な関係づくりに成功している。
仕組みはいったいどうなっているのか。なぜ「相思相愛」になれるのか。

 

 

この理由を探るべく、株式会社シニア経理財務の代表取締役社長 富澤一利さんと、
実際に働くシニアの小林正明さん、そして顧客として同社のサービスを利用する
有限会社EOS plus(イオス プラス)代表取締役の遠藤和広さんに、それぞれお話をうかがった。

 

 

66歳の社長自身が「再就職できなかった」経験を発端に

「簡単ですよ。自分の悩みが発端ですから」
株式会社シニア経理財務の代表取締役社長、富澤一利さんは、振り返る。
2013年4月、経理・財務業務の経験豊富なベテランシニアと、
経理・財務業務の人材不足に悩む中小企業をマッチングさせるサービスをスタートした。
「私自身も直面した、高齢者の就労における、極めてシビアな現実がありました。
これをなんとかしなくては、と思ったんです」

 

 

 


笑顔で話す富澤さん

 

 

富澤さんは現在、66歳。大手都市銀行で33年間務めた後、東京都内にある、
小規模ながらハイクラスのサービスを誇るホテルに転職した。
ホテルでは、支配人として経理、財務、人事、営業と定年年齢の60歳まで勤務。
その後不動産会社に転職し、その会社の定年年齢である65歳まで、
さらに5年間、関連会社23社の財務担当の専任として働いた。

 

 

「問題はそのあとでした。まだ働ける、働きたいと思って、
シニアを対象とした人材紹介会社にいくつも登録しました。でも、紹介は全くありません。
唯一紹介してもらった仕事は、宅地建物取引主任者の5年に一度の講習での司会進行役でした。
宅地建物取引主任者の資格が、たった1日だけ、生きたと言えるかもれません」
あまりの状況に、紹介会社に確認すると、シニア人材として登録した人のうち、
実際に働けている割合は10%。これでは、いくら登録しても就労には至れない。

 

 

では、どうすれば、就労つながるサービスにできるのか?
そう考え、編み出したのが、“利用する企業側が利用したくなり、
働く側も喜んで働ける”シニア経理財務のサービスだった。

 

 

働く高齢者の要望は? 中小企業の人材ニーズは?

「働く側の要望は、私自身の実体験ですから、よくわかります。退職直後は、
会社員時代には時間がなくてできなかった『あれもやりたい』『これもやりたい』で、いいんです。
ところが早々にやり飽きて、『草むしりしたくても、草がまだ生えてこない』なんていうことになる。
子どもはとっくに手が離れ、家にいてもすることもない。

 

 

寂しくて、奥さんの後をついて歩けば嫌がられ、昼に家で食事をすることすら迷惑がられ。
仕方なく外に行こうにも、パチンコはお金がかかるから、
仕方なくただで長時間いられる図書館通い。というパターンです」
こうなると、やはり仕事がしたくなる。実際、60代はまだ働き盛り。

 

 

富澤さん自身、社長業をこなしながら、毎週1回、朝6時30分からの異業種交流会を筆頭に、
6つの経営者団体や交流会に所属し日夜シニア経理財務のPR活動をする。
一方賃金は、厚生年金の受給者であれば、そう高額は必要としない。
「誰かの役に立ちたいんです。それも、自分のこれまでの経験を活かして働きたい。
これは奥さまの強い希望でもあるんですよね。

 

 

家に四六時中いられるよりも、適度に外に出てくれれば、ストレスはないし、
夫婦仲も円満。さらに収入を得てくれれば、もう最高というわけです」
一方、富澤さんが、企業側、特に中小企業と接していて感じたのが、
「人材不足」。同時に「人は欲しいが、支払える金額に限りがある」状況だった。
両者の根本的なニーズは合っている。

 

 

あとは、お互いにとって「ありたがく」「納得のいく」仕組みであり、
仕事と対価のバランスをどう図るか? ということだ。

 

 


富澤さんが好きな言葉「仕事に惚れる」

 

 

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