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働き方コラム

顧客アンケートで「心を通い合わせる」経営手法【長野第一ホテル】第3回

 

努力の結果が、アンケートに表れた!

こうした全社員の日々の努力は、アンケートに現れた。
回収する枚数が目に見えて増え、ご要望や、感謝やお礼の言葉などが、
びっしり書かれるようになってきたのだ。
回答者に「抽選でプレゼント」など
インセンティブは設けていない。

 

お客さまにとって、アンケートに書き込むことに、
何かを「伝える」以上の価値はない。
なのに、右上がりに増えていく。

 


年々増えていくアンケートの束

 


匿名性が守られる、エレベーター前設置のアンケート回収箱

 

これには、宇都宮さんもおどろいた。
しかも内容が、本当にうれしいものなのなのだ。
「例えば『お部屋のお掃除が丁寧で感謝しています』
『深夜なのにフロントの対応が温かく親切で、安心して利用できました』
『まるで一流ホテルでご対応いただいているようでした』といった具合です。

 

いつだったか、会議に参加していたスタッフの一人が、
『会社に都合のいい内容のものだけ読んでいるんじゃないですか』と
言い募ってきたことがありました。もちろん、隠すなどしていません。

 

包み隠さず、今でもすべて読み上げています。
以前は読む枚数が少なくて、私の話が長かったのに、今ではお客さまからお手紙もいただくようになり、アンケートを読むだけで、会議の時間が終わってしまうくらいになりました」

 


お客さまからのお手紙

 

 

 

実際のアンケート

 


フロントのあたたかな対応は、
あかるい社員間コミュニケーションから

 

 

自分たちが頑張ったことを、お客さまは、確かに認めてくれている。
お客さまからの深い感謝と称賛が、
アンケートの読み上げを通じ、一斉に、直接的に、感じられる。
これが、社員の「頑張る」気持ちを、突き動かした。

 

しかも、全員が同じ情報に触れ、
一緒に感じ、考えているため、対応に温度差や齟齬が生じない。

 

「もっとがんばろう」「もっと喜んでいただきたい」
「そのためには、もっとどうしたらいいのか」と、
自然と皆で一緒に考える。
そして、速やかに実行されていくのである。

 

清掃パートが語る「他社とは違う仕事のやりがい」

長野第一ホテルで清掃パートとして働く2人に、
そのあたりを聞いてみた。
当日の勤務が終わり、たまたま休憩室で一休みされていた、
山崎美千代さんと、松野真理さんである。

 

 


清掃パートの山崎さん(左)と松野さん

 

経営が引き継がれる前から、
すでに4年近く働いている山崎さんは、こう話す。
「会長も部長も、私たちのことをとても大事にしてくれます。
以前の『お掃除のおばちゃん』扱いとは全然違います。

 

上から目線なところが一つもなく、繁忙期に『集中して早く掃除して、
チェックインに間に合わせてくれてありがとう』と言われたときは、
感動しました。私たち一人ひとりのことをよく考えてくれていると思うし、
声を掛けてもらえると、張り合いが違います。しかも、昨年は時給も上がりました。

 

すごくうれしかったですし、これだけ上げてくれるのですから、期待に応えたいとも思います。
洗面所の排水溝などは大変ですが、光っているのものはともかく磨きます。

 

パート同士で話し合ったり、連携したりして、より完璧な清掃を目指しています」
一方、入社して丸一年になる松野さんは、前職との違いが大きいと言う。

 

「前の職場は、人間関係で辞めました。イジメがあったのです。

でも、ここにはありません。

感情のすれ違いがあっても、派閥がないから、イジメにならないのだと思います。
あと、お客さまアンケートの存在も大きいですね。

 

『気持ちよかった』って書いていただくのが一番うれしいし、
反対に『髪の毛が落ちていた』など書かれることがあると、ううーっ、って思います。悔しくて、残念で。
会長から『100 引く 1 は、ゼロ』の話を聴きました。

 

 

どこか1室でも完璧でないお部屋があると、他もそうだろうと思われてしまう、
というお話です。そうならないように、頑張ろうって思います」

 

若手正社員の声「マニュアルがないから面白い」

フロント業務を行う正社員の反応も、基本的には変わらない。
例えば、パートで入社し、正社員に登用された、鈴木航さんはこう話す。

 


パートから正社員になった鈴木さん

 

「以前、派遣で働いていた旅館でも、お客さまアンケートはありました。
でも、その内容が私たち末端の派遣社員に知らされることはほとんどなく、
『上の人が知っていても、現場に知らされなければ、何の解決にもならないのに』と思っていました。

 

ところが今は、ご要望やご意見、クレームも含め全部わかるから、
自ら気を付けることもできます。

 

もちろん、『フロントの対応がよかった』などと書いてあると、とてもうれしいです。
驚いたのは、マニュアルがなく、ルールや決まりが極めて少ないことでした。

 

これは、自分で考えたり、先輩に聞きながら行動しなくてはならないので、
大変です。でも、仕事は圧倒的に面白くなりました」
一方、大学を中退し、ハローワークで長野第一ホテルの求人を見つけ、
2014年春に入社した小澤咲良さんは、こう話す。

 

 

「目上の人への対応や、働いているときの態度など、
きちんと具体的に注意してもらえます。
例えば会長がいらしたとき、

ちょうど書き物をしていた私が下を向いたまま挨拶したら
『挨拶するときは、相手を見なさい』と言われて、
次から直せるようになりました。先輩を見ながら、

『もっとどうしたらいいか』自分で考えて仕事をして、
アンケートでいいことが書かれていると、
やっぱり励みになります」

 

小売店から転職した美谷島さんは、チーム力を評価する。
「アンケートを見ると、とてもありがたい言葉が並んでいます。
私個人では力不足を痛感していますが、皆の協力があっての結果です」

 


フロントスタッフの小澤さん(左)と美谷島さん(右)

 

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