SHAとして推薦された、ベテラン先輩HAが、
教育・研修を企画
営業担当社員や先輩HAからの、日々日常のサポートやアドバイスに加え、HAの意欲や成長を支えているものが、教育だ。
「HAは短時間勤務のパートですが、その教育研修はしっかり行っている方だと思います。
内容は、専門知識研修、販促研修などで、入社1年目、2年目など社歴に応じて、外壁塗装、水廻り、照明器具や内装資材、
オール電化のキッチンから、エクステリアまで、リフォームの知識や最新情報をしっかり学んでもらいます」
加えて今、大きな効果を出しているのが、スーパー・ホームイング・アドバイザーつまりSHA(エス・エイチ・エー)による支店ごとの研修だ。
SHAは、HAの中から、会社の方針や意向を理解して、かつ「人に教えることで自らも成長しようとする意欲のある」人が推薦される。
そして、各支店におけるHAの活動をサポートするのだ。
「東京・神奈川・千葉等の地区別に数名を組織して、各支店の支店長と話し合いながら、
教育カリキュラムを組んでもらったり、元気のない営業店に出向いては『出張ロールプレイング勉強会』を行ってもらっています。
HAに一日同行をして、お客さま対応や営業方法のアドバイスをすることもあり、頼りになるトレーナーとして、素晴らしい活躍をしてくれています」
SHAの強みは、実際にHAとしての経験を積んだ人であることだ。
例えば、結果が出ずに「私は向いていない」「申し訳ない」と落ち込む新人HAに対し、同じ道を歩んできたSHAが「3年間は頑張りなさい。必ず結果に結びつくから」と伝えることで、壁を乗り越えてきた例も少なくない。
来し方を振り返り、後輩HAに語るアドバイスは、実践的だ。
しかも、親身さが違う。
「自分に関心を持ってもらえている」実感が、HAの頑張りを引き出すのだ。
研修について話し合う、神奈川地区担当のSHA(スーパー・ホームイング・アドバイザー)たち
実際、「HA全体会議」の終了後、神奈川地区のSHA会議に同席させてもらったところ、「SHAの同行訪問をより効果的にするため、アンケートをとり、HA本人に営業の悩みを事前に聞くと同時に、店長からもマネジメント上の課題聞く」
「水廻りのリフォームニーズをキャッチするための、
お客さまの詳細なプロフィール設定に基づくロールプレイングのあり方」
などが、真剣に話されていた。
働くHAの生の声②
自分に合った「やり方」でできるのが魅力
実際に働く2人目のHAの声からは、働やすいシフト、評価に応じたインセンティブ、
上司ヒアリングや仲間のサポート、潤沢な教育研修に加え、
HAにとっての、さらなる魅力が浮かび上がった。
仕事のやり方の自由度が高いことだ。
ミサワホームイング一橋学園店(東京都小平市)のHA、木川田路加さん
一橋学園店(東京都小平市)のHA、木川田路加さんは言う。
「応募したのは『時間が自由で、学校行事などにも参加でき、専門知識がなくても、入社後の研修で身につけられるから大丈夫』とあったからです。
そんな動機で入社し、しかも他者のプライベートに踏み込むことがキライな私が、13年もHAを続けてこられたのには理由があります。
それは、自分に合った仕事のやり方を承認してくれたからです」
具体的には、一橋学園店だけで発行する「HAかわらばん」の作成を企画・提案。
それが了承され、強力な営業補助ツールになったのだ。
「内容は、キャンペーンのお知らせなどもありますが、どちらかといえば、4人いるHAが自ら書くエッセイなどが中心です。
私は、対面での自己開示が苦手な分、ここで自分を表現しています。
すべて手書きのカラーなので、正直なところ毎月作るのは大変です。でも、これを見て
『この間のエッセイで書かれていた、あれ・・・』などお客さまの方から話題にしてくださったり、見てくださっている率は高いと感じ、今はもうやめられない感じです」
面倒な月次レポートをびっしり書くのは
「関心を持たれている」から
HAの仕事は「営業」だ。これに付随し「書く」作業もたくさん、発生する。
まずは、すでに紹介した「チャレンジシート」。
そして、毎回お客さま訪問後には、今後の「お役立ち情報発信」のために、その状況を記録しておく。
加えて、月次レポートだ。
毎月月末に、その月に取り組んだことやその成果を記入して、上長へ提出する。
「ここだけの話、面倒くさくないですか?」と、前出のHA木川田さんに聞いてみた。
「正直なところを言えば、面倒です。
それでも書くのは、例えば自分が書いた月次レポートを、
本部の高塚部長がすごくよく読んでくださっているのがわかったからです。
提出されたレポートの内容から、好事例をピックアップして、HA全員に共有してくれたり、コメントが付いて返ってきたり。そうなるとやっぱり、書いてしまいますよね」
一方、高塚さんはこう話す。
「担当していた当時はハナマルつけたり、線を引いたりしながら、
全部にしっかり目を通していましたね。
事例共有用のレポートのまとめでは、スポットライトを皆に当ててあげたいので、
そうした面でも、いろいろ気も遣っていました。
当時で毎月100枚以上ありましたから、通勤途中で読んだり、大仕事だったのは確かです。
半面、皆の日々の出来事を読むことで、どんなエッセイよりも、笑えて、泣けて。
感動させてもらいました。
これほどみっちり書いて来てくれるんですもの。応えてあげなくっちゃと思います。
こうして、私自身が、フィードバックの大切さを学びました」
他店の仲間の活動に「ある、ある~~!」と共感し、ヒントをもらい、自らの体験も共有する。
見てくれているのがわかるから、頑張って書く。
一所懸命書いてくれているから、必死で読む。
この好循環が、レポートの形がい化を防いでいる。
「関心を持ち」「関心を持たれる」から、人は動こうと思うのだ。
HAは、その多くが月に50時間しか出勤しない。
最大でも、月70時間の勤務である。
しっかり機能した月次レポートによる、1か月ごとのまとまった情報共有が果たす役割は大きい。
採用難に対応「退職を減らす」アイデア
リフォーム業界も、だんだん採用が難しくなってきているという。
HAの定着はもともと悪くないが、退職者を減らす努力は必要だ。
「それには、各営業店でのマネジメントが、やはり重要だと思います。
聞いていると、ちょっとしたボタンの掛け違えが原因で『もう、辞めます!』となっている例が少なくないのです。
例えば、お客さま宅の工事の進捗状況がHAに伝えられておらず、お客さまから『え、知らないの?』と言われて、気まずい思いをするとか・・・
もちろん誰も悪意などありませんが、ふとした行き違いが大きな溝を作ってしまうことは少なくありません。
これを回避するためには、ホウ・レン・ソウマニュアルを完備するといったやり方でなく、ペアを組む営業担当社員、店長そしてHAが、自らもっと働きかけて、コミュニケーションを取ろうという、積極的な気持ちを持つことだと思います。お互いに意識して、行動していかないと」と高塚さん。
採用難は、HAつまりパートだけではない。
新卒採用を行っても、内定辞退が少なくない。中途採用もだんだん取りづらくなっている。
そこで同社が考えているのが、HAからの正社員登用だ。
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