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働き方コラム

180人の主婦パート営業部隊が大活躍!【ミサワホームイング(株)】第2回

主婦パートにこそ任せたい仕事

 
同社がこうした女性戦力に注目し、HA制度を始めたのは20年近く前にさかのぼる。
高塚さんは、12年前に担当に就き、人事制度の改善や、一人ひとりの評価シートや業務報告書に目を通したり、また、HAが実際に働く各営業店と連携し、HAからの相談などを受けてきた。
 
 
「HAは、家庭の主婦こそ活躍できる仕事です。自身が自宅を切り盛りする方ですから、リフォームのニーズやポイントを引き出しやすいんです。
具体的なリフォームの仕事につながる以前の、いわゆる雑談も、生活経験豊富な主婦だからこそスムーズな場合が多いのです。
 
 
実際、卒業したての新入社員ではお客さまとの共通の話題が少なく、お住まいに関する悩みやこだわりを聞き取るアンテナがまだ張れていないのです。
それではお客さまとの会話は成り立ちません。
今は、HAも社会人経験のある方が多く、ビジネスマナーや企業人としての基礎知識も備えています。
個人宅を訪問するので、落ち着いた年代の女性がもたらす安心感も大きいです」
一方、その仕事は楽ではない。本質的には外勤営業そのものだ。
 
 
短時間勤務とはいえ、夏は炎天下、冬は凍てつく寒さのなか、個人のお客さまのお宅を、事前のアポイントなく訪問することもある。
人によって、好みが出る仕事である。
 
 
「HAの採用面接は配属予定先である各営業店で行っていますが、かつて早期退職が増えた時期があり、“定着する”面接を意識させています。
つまり面接で、仕事の厳しさもきちんと伝えるように言っているのです。
今では、最終面接で必ず『ピンポン体験をする』ことを、必須要件として求めています。こうした努力によって、ミスマッチによる早期退職が減りました」
「ピンポン体験」とは、実際にお客さま宅のインターフォンを押し、会話をしたり訪問する体験を、先輩HAやREつまり営業担当社員に同行してもらって行うこと。
これが「やれる」か「やれない」か。
最終的な採否はその上で、応募者の意思確認をしながら、決めていく。
 
 
 

パート営業部隊”成功の理由

 
「HA全体会議」における表彰は、
こうして採用されたHA一人ひとりがたたき出した数字により、行われる。
 
今ではすっかり定着した表彰式
 
 
最初は目標数値を設けることに対しても、大きな抵抗があった。
「HA制度も、最初はもっとゆったりしたものでした。途中から会社の期待を伝えるためにも、目標数値を設け、表彰制度を始めました。
当初は少なからず抵抗はありました。
 
 
でも、仕事の目的は、お客さまのお役に立ち、ご満足いいただいた結果としての、売上や利益の向上です。HAの貢献度を明らかにし、
会社へのHAの存在感をアピールするためにも、ここはもう『やるしかない』と思いました。
そして、最初は目標も“ちょっと頑張ればやり切れる数値”に設定するなど工夫して、スタートしたのです」
今ではそれもすっかり定着したことが、表彰式での真剣な様子、懇親会での明るい雰囲気に現れる。
退職率も「夫の転勤」など環境的な要因によるものも含め、年間15%にとどまっている。
 
 
成績優秀者表彰が根付き、懇親会はなごやか
 
 
こうした“パート営業部隊”が成功している背景には、もちろん会社側の継続的な努力がある。
望む成果を発揮してもらうことと、HAが働きやすい環境整備を、バランスよく推進していく工夫である。
以下に、同社が行っていることを、「3つの成功理由」として、具体的に見ていこう。
 
 
 

成功理由①
フォローまで仕組み化した目標管理

HAたちに、同社が望む成果を発揮してもらうための工夫の第一は、
「目標管理制度」の導入だ。
具体的には、半期ごとに提出する『チャレンジシート』に、見込み客や、正式な見積もり依頼客、新規客獲得の件数や、
その後の成約件数と成約金額、制約利益額まで、一人ひとりのHAに自分で書き込ませる。
「目標は、上司との話し合いのもと、決定します。
もちろん、目標を立てて終わりではなく、それを実際に達成するための行動目標や、重点取り組み事項、具体的な対策まで、自分でしっかり書いてもらいます。
期末には、目標がどれだけ達成できたか、具体的な数字を書くと同時に、『よかったこと』『前進したこと』『反省点』や
『うまくいかなかったこと』などを文章でも書いてもらいます」
 
 
目標管理を成果につなげるポイントは、目標を立てっぱなしにしないこと。
同社では、店長と、各HAがペアを組む営業担当社員が、しっかりフォローする仕組みを整える。
 
「チャレンジシートに専用のコメント欄を設け、しっかりフィードバックしてもらっています。
さらにそのシートをもとに、個別面談をします。
これによって、何がよかったのか、次はどうすればいいのか? を、HA本人が納得し、次の目標に向かって進む手助けをしているのです」
 
 
 

成功理由②
成果に応じたインセンティブ賃金制度

 
成果を発揮してもらうための工夫の第二は、成果に応じた賃金制度の導入だ。
HAに支払う賃金は、労働時間に応じた「時間給」部分と、成果に応じたインセンティブ部分に大別される。
「時給は、全員一律時給1000円としています。本人の努力は成果給として、勤続年数や労働時間とは関係なく支払う仕組みにしています」と高畑さん。
具体的には、正式な見積り依頼をいただいたときと、実際の成約に結び付いたときに、その件数や額に応じた成果給が、支払われる仕組みとなっている。
「入社後、日々の販促活動を通じてお客さまとの信頼関係づくりに成功したHAは、自ずから成果を出してきます。
なので、形こそ受注に対するインセンティブですが、実際には、そこに至る日々の継続的な努力を、賃金に反映する意味合いをもっています」
 
 
 

成功理由③
超・柔軟な勤務シフト

 
成果を発揮してもらうための工夫の第三は、HAが働きやすい環境づくり。
なかでも一番特徴的なのは、極めて柔軟なシフトである。
例えば勤務時間は、月に50時間、60時間、70時間の3種類から選択可能。
一番多くのHAから選ばれている月50時間勤務の場合、週3日、一日4時間程度の出勤が目安となる。
 
勤務時間は10:00~15:00が基本であり、出勤日は前月に自分のスケジュールに合わせて申請する。
 
これを店長が承認する仕組みだが、予定が変わった場合には変更も可能である。
月に数日、研修やミーティングなどが設定されている日は、極力出勤することが求められ、採用面接のときも「その際の保育などは大丈夫ですか」などと聞かれるが、そこを差し引いても「超・柔軟」と言っていいだろう。
さらに加えて、“希望者は8月の1か月間を、無給でまるまる休職できる”制度も導入した。理由は、こうだ。
 
 
「8月はお子さんの夏休みの関係で、HAの稼働率が下がる傾向にありました。
であれば、いっそのこと『休みたい人は、どうぞ思いっきり休んで』と、打ち出したんです」
 
 
ただし、休職中に、自分が担当してきたお客さまから正式な見積もり依頼や成約があっても、インセンティブが付くことはない。
 
これを不服とする人もいたが「お客さまを担当するあなたが1か月休職すると、大切なお客さまとの接触機会を逃すことになります。
場合によっては周りの人があなたの代わりに、あるいは別の手段を使って、フォローするのです。そうしたコストを払って会社は、あなたに休職を認めているのですよ」
 
 
という考えをきちんと伝えると、納得してくれるという。
とはいえ、これらはあくまで「会社が良かれ」と思って行う施策である。
働く側はどう受け止めているのか。実際に、HAとして働く2人の声を聞いてみた。
 
 
 

働くHAの生の声①
成長の喜び、応援・評価がやりがいに

 
ミサワホームイング仙川店(東京・調布市)で、HAとして働く岡田孝子さん
 
 
「私がHAになったのは、8年前。地域のママさんバスケの友達から、『うちで働いてみない?』と誘われたんです。
当時、子どもの手も離れ、家族のために自分も何かをしたいと思っていました。
そんな折、子どもが学校に行っている間だけ、好きなときに働けて、かつ『達成感も味わえる』と聞き、応募したのです」
同社の仙川店(東京都調布市)のHA岡田孝子さんはこう、振り返る。
結婚前に証券会社でカウンター業務を3年経験していたが、結婚・出産で専業主婦に。
 
 
実に18年ぶりの再就職だった。
 
「最初は不安のなかでのスタートでした。でも、人間関係には本当に恵まれて、ここまで続けて来られました。特に、ペアを組む営業担当社員の方が、私の性格をよく見て、的確な助言で導いてくれたのが大きかったです。
 
成長を応援してくれ、ステップ・アップを褒めてくれると、頑張ろうと思えます。
それでも成果が出なくて落ち込んでいるときには、ベテランのSHAが『仕事が楽しくないと、お客さまに伝わるよ』と励ましてくれました」
SHA(エス・エイチ・エー)とは、後編で詳述するように、HAの活躍をサポートする専任者のことである。
 
 
そして、岡田さんにとってさらにうれしいのが、お客さまからの評価だった。
「あなただから相談したのだけど」「リフォームして本当によくなった」「頼んでよかった」などの言葉を聞き、実際にリフォームした後のお宅を見せてもらうと、仕事のよろこびは倍増する。
 
「お客さまからは、その半生を聴くようなこともあり、仕事を通じて成長できることもうれしいです。
目標達成のプレッシャーもありますが、お客さまのことを思って何かしてさしあげれば、ちゃんと返してくださるのだということを、感じてきました」
 
 

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