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【平田未緒コラム】これからの人事~協働・協創と女性性~

 
3連休のうち2日を使って、伊豆で合宿を行ってきました。
  
といっても、ことさらに「何か」を企画をしたわけではありません。
「これからの人事」について改めて考えてみよう、
という目的で意気投合した、女性ばかり4人での一泊旅行です。
 
年代は、私を基点に年子の姉、そして、一回り以上年下の妹まで。
  
3人とも、仕事への向き合い方や、学びの深さ、
行動力、実践力、そして発信力や影響力などにおいて、
私が「すごいな」「素敵だな」と敬愛してきた、企業人事の方々です。
  
 
そんなメンバーだったのに、実は合宿では結局、
「これからの人事」について、語り合うことはありませんでした。
  
そうではなく、
人事という枠組みを超えた、もっとはるかに大きな部分で、
自在に感じ考え、話しました。
そして、はからずも、
「これからの人事」に関する私なりの解へと、
帰着する結果となったのです。
 
「人事管理」とは、会社がその目的を果たせるよう、
自社の労働ニーズを充足させるための活動です。
 
そこでは、特に高度経済成長時代からバブル期にかけて、
金銭的報酬が大きく作用していたと思います。
 
では、今はどうかといえば、
まず、会社が大きくならないので、
ポストも増えなければ、収入も増えません。
 
それどころか、バブル終焉目前の1989年(平成元年)には消費税が導入され、
社会保険料も高くなるなど、可処分所得は減るばかりです。
 
たくさん稼いでたくさん使う、ではなく、
そこそこ稼いで適度に使う、への価値観の変化は、
当然のように思えます。
 
とすると、人材マネジメントには、金銭以外の報酬がより必要になってくる。
では、それはいったい、何なのか?
 
そう考え、合宿で私自身が肌感覚で理解した、
お金とは異なる「これからの」報酬。
 
それは
「大変なことも、うれしいことも、
皆で助け合い分かち合うからこそ得られる豊かさ」
です。
 
もしかしたら、この報酬は、
男性性より女性性に、より効くのかもしれません。
 
実は今回、合宿メンバーの一人が、
生後4カ月の赤ちゃんを連れてきてくれました。
 
まだおっぱいが欠かせず、
彼女としても「皆に迷惑をかけるのではないか」と、
すごく気を使いながらの参加だったと思います。
ところが・・・
 
迷惑どころか、合宿の成果という観点に立ってさえ、
全く逆、だったんです。
 
レストランで食事をするにも、電車やバスに乗るにも、
誰かが赤ちゃんを抱っこしたり、見ていてあげたり、荷物をもってあげられるので、
ママだけが過度に大変な思いをすることなく、対話に加わることができました。
 
これにより、
4人全員がしっかり合宿に参加できている安心感や、
うれしさがありました。
  
さらに、その場に赤ちゃんがいることで、
私たちのなかに、より深い、根源的な愛情が、
まるで空気のように、流れているようでさえあったのです。
  
これらのことは、対話の質を明らかに上げてくれました。
頭で「人事」を考えるのではなく、
心で「人の事」を感じ考えた・・そんな時間だったかもしれません。
   
   
私は、働きかたは、生きかた、だと考えています。
一人ひとりの人生のなかに、「働く」もあれば「プライベート」もあり、
それらは否応なく、当然にして、密接に絡み合います。
   
人事マネジメントは、このうち「働く」を意識して行うものですが、
マネジメントする相手つまり個々の社員には、
「働く」と同時に「プライベート」な側面が内包されています。
  
そして、今の社員の内面を見てみれば、
かつてにくらべ「働く」より「プライベート」が大きな人が、
圧倒的に増えていると思います。
  
 
人は、働いた先に、何かよいことがあると予感できなければ、
働くことがイヤになってしまう生き物ではないかと思います。
   
かつて、それは食料であり、
その後、何にでも換えられる「お金」になり、
より大きな権限が付与され、お金にも直結する昇進・昇格でした。
  
それらが、今、なくなっている。少なくなっている。
時代による、世代による、
働く上でのいかんともしがたい環境の「違い」です。
 
しかも、働いた先の「何かよいこと」は、
さらに見えなくなっているのだと思います。
 
理由は、少子高齢化。
今後ますます進む、人口構造の圧倒的な逆三角形化です。
 
18日の敬老の日を前に総務省が発表した人口推計によると、
総人口に占める65歳以上の割合が27.7%となり過去最高。
  
80歳以上の人口も、
1950年には37万人だったのが、2017年には1074万人となり、
総人口の8.5%になった、とのことでした。
  
少し前のメルマガで、
働き方改革の本質とは?」について書き、
「全員が、可能な限り支え手にまわれるようにするため」の工夫だ、
としたのは、このためです。
  
 
一方、先日、やはりメルマガで、
女性活躍の真のポイント」として、
(頑張った)その先のバラ色を見せることだと書きましたが、
実はこれは、女性に特化したものではなく、
すべての労働者に共通することだと思っています。
  
しかも、これからは人生100年時代です。
そんななか、どうすれば「その先はバラ色」になるのでしょう。
  
  
すでに書いたように、
多額の金銭報酬や、それを増減させることを一番の方法として、
力業で人を動かす時代は終わりました。
  
そうではなく、温かな協働であり、協創の喜び。
  
そして、協働し協創するからこそ可能になる、
介護や子育てにおける、地域や職場での助け合い。
  
すなわち、やりがいや働きがいに加え、
協働・協創の喜びによっても個を充実させながら、
働ける人誰もがみな「支え手」に回り、互いに支え合うことを通じて、
付加価値を生み、身の丈で経済を支え、
超高齢化社会を乗り越え、幸せな社会を作っていく。
  
これこそが「これからの人事」であり「働きかたの未来」ではないか。 
 
 
・・・ということが、4人プラス1(じつは男の子)による合宿で見出した、
私なりの答えです。
  
そしてこの答えは、私が直接支援する「女性が多い職場」において、
もうびっくりするくらい、ぴったり当てはまるものだったのです。
  
思考の機会だけでなく、
「研修にそのまま使えるキーワード」、
つまり、仕事における実利ももらえた合宿に、
改めて感謝するばかりです。
 
 
 

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