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働き方コラム

出産退職後、私はこうして理想の職場にたどり着いた【小林直子さん(仮名)】

取材・文/働きかた研究所 平田未緒

 

※出典:働くママ&パパに役立つノウハウ情報サイト「日経DUAL」(2014年1月 平田未緒執筆記事を、同サイトのご厚意のもと、転載しています)

 

 

出産を機に仕事を辞めると、多くの場合、それまで積み上げたキャリアがリセットされる。子育てが一段落して再び働き始めようとしても、なかなか正社員として復帰するのは難しいのが現実。その困難を乗り越え、再び働き始めた女性の道のりを紹介する。

 

 

双子を出産、職場復帰をあきらめる

 小林直子さん(仮名/41歳)は4人家族。会社員の夫と、小学4年生の子どもが2人いる。短大卒業後、子どもが生まれるまで12年間、正社員として働いてきた。
 新卒で入社したのが、大手カード会社。その後、大手化学メーカーに転職し、経理部門で一貫してキャリアを積んできた。

 

 

 「私は、どちらかといえば仕事志向。だから出産後も働き続けるつもりだったんです。ところが妊娠中に双子だということが判明して。初めての子どもですし、当時は育児短時間勤務などの制度もありません。なので、これは辞めざるを得ないな、と。子育てしながら正社員として働き続けるのは、私には無理だと思ったんです」
 実の母は病気がち。夫は残業や出張の多い仕事であり、家事や育児を分担してもらえる状況にない。体が強いとはいえない小林さんにとって、自身の体力も心配だった。

 

 

 「退職し、出産した後は家事と育児に追われて、あっという間に時間が過ぎていきました。とはいえ、もともと働きたい性分です。そこで4年前、子どもが小学生になったのを機に正社員での仕事を探し始めました。やるからには正社員として、しっかり働きたい気持ちもありました」

 

 

 ところが、小林さんが就いたのは、正社員ではなく、パートの仕事だった。それも、これまで縁のなかった「訪問介護」の仕事である。当初、望んでいた働き方ではないものの、自ら選択しての就職だった。

 

パートで訪問介護を始めたわけ

「再就職活動を始めてほどなく、実の母がくも膜下出血で倒れてしまったのです。一命はとりとめましたが、重度の要介護者になってしまいました。これではとてもフルタイム勤務はできません。でも、仕事をしたい気持ちはありました。そこで介護と仕事を両立させながら、仕事を通じて母のための介護を学べる、訪問介護という仕事を選んだのです」

 

 

子どもが小学生になったので毎日の幼稚園の送り迎えこそなくなったが、それまで専業主婦だった小林さんの生活は一変する。それでも、心づくしの介護ができている実感があり、収入は少なかったが、介護業界でのパートでの復帰は小林さんにとって最善の選択だと感じられた。
 しかし1年を待たず、母親は亡くなってしまう。同時に、介護の仕事をパートで続ける理由も、なくなった。

 

 

「拘束2時間、収入600円」から念願の正社員に復帰するが…

 「生活支援の仕事の場合、時給は1200円程度です。にもかかわらず、30分以上かけて仕事先のご家庭に行き、30分掃除して、また30分以上かけて帰ってくることもありました。2時間近く拘束されて収入が600円では見合いません。自分の家が片付かないのに、人さまの家の掃除をすることもストレスでした」
 小林さんは、訪問介護の仕事を辞めた。目指すのは、そもそも望んでいた「フルタイム正社員」での、介護業界での就職。介護関係は求人も多く、最愛の母を思って入った業界だ。せっかく得た経験を、転職に活かしたいという思いもあった。

 

 

 「ほどなくクリニックに併設されたデイケアセンターに採用してもらうことができました。念願の正社員です。でも、そこがとんでもないところだったんです」
 夜の10時、11時までのサービス残業は当たり前。もちろん、家庭がある小林さんも例外ではない。1時間あるはずの昼食休憩も、実際には利用者の食事介助をしながらで、休憩とはとても言えなかった。

 

 

 「さすがに入社1カ月くらいは、サービス残業もありませんでした。ただ『社員の入れ替わりが激しい会社だな』とは感じていて・・・」

 自分も主力メンバーに組み込まれてわかった。人が辞めるのは、いつもスタッフ不足で余裕がなく、皆が疲弊しているから。寝不足の中、1日中お風呂介助や洗濯を1人でさせられれば、仕事を続けていく意欲が失われても当然。
 突然休む人が多かったのは、「勤務日の朝、『今日はとても行けない』など、心が折れてしまうから」だということも、自身の体験を通してわかってきた。

 

 

 「それでも半年、頑張りました。でも、ある日ご利用者さまを送迎するバスに乗っていたところ、アルバイトの運転手が事故を起こしたんです。私も首に大きな負担がかかり、病院に行きたかったのにそれも許されなくて。ここで働いていてはいけない、と、思いました」
 結局、小林さんはそのデイケアセンターを半年で退職する。

 

 

時給1000円のパートから正社員へ

それでも小林さんは、介護業界を去らなかった。母を通じて、介護を必要とする人に、しっかりとした介護を提供する大切さを実感していたからだ。
「次の職場はデイサービスセンターでした。産休中の正社員の代替要員で、時給1000円のアルバイトでしたが、それでいいと思ったんです。正社員での仕事を安易に決めるのは怖く、つなぎとしてなら、別にいいと思いました」
 それから3年。実は今も小林さんは、そのデイサービスセンターで働いている。それも、フルタイムの正社員として。

 

 

 「2年間はパートでした。それでも辞めずに続けてきたのは、何より働きやすかったからです。施設長がとてもしっかりとした、人間味のある方で・・・スタッフを大切にして、守ってくれている感じがうれしくて。もちろん、きつい仕事もありますが、安心して働けるので人が辞めません。結果、スタッフの人数にも余裕が出て、さらに退職者が減るという好循環ができていました」

 

 

大事なのは、実際に「働き続けられる」環境

 当初の雇用形態はアルバイトだったが、小林さんはほぼフルタイムで働いた。もともと正社員希望。また職場には人の余裕があったので休みも取りやすく、小学校低学年の2人の子どもをもつ身にとって、これはありがたいことだった。
 「スタッフにママが多く、お互いの苦労が分かるんです。だから、例えば子どもが突然熱を出したときなど、仲間が気持ちよくフォローしてくれます。こうした協力ムードを、マネジャーが率先して作ってくれるのも、大きかったです」

 

 困ったときに助けてもらえば、自然に感謝の気持ちが湧いてくる。それが「お互いさま」の連鎖を引き起こし、ますます職場の雰囲気が良くなることを実感した。
 「そうはいっても、やはり正社員希望も捨てられず、実は途中で別の施設の求人に応募したこともありました。年収は前の会社の1.7倍という好待遇だったので、正直、魅力的でした。でも、最終面接で、そこを辞退しました。迷いに迷いましたが、半年で辞めた経験から『正社員であればいい』わけでもないことを実感していましたし、そのくらい今のこの職場での働きやすさを、代えがたいものだと感じていたのです」

 

 

復職成功の秘訣は「しっかりした自分の考え」

 「ここで働き続けたい」。転職活動をきっかけに、自身の強い思いに気づいた小林さん。正社員になれたのは、正社員の空きが出たときに、マネジャーの推薦があったから。登用されるための勉強や仕事ぶりが認められ、見事正社員登用されたのだ。

 

 「職場に “勉強する風土”があるんです。就業時間外の勉強会は日常的で、ケア・マネジャーの資格に挑戦する人も多く、互いに高めあう環境は素晴らしいと思いました。そこで私も先輩正社員のアドバイスを受けながら、介護福祉士の資格を取ったんです。努力が認められたことは本当にうれしかったです」
 そんな小林さんが、今挑戦しているのが、運動療法士の資格だ。これが取得できれば資格手当が毎月の給与にプラスされる。何より、自分ができる介護の幅を広げたい。母を通じて出会った介護という仕事を、もっともっと極めたいと思っている。

 

 

 「自分がどんな環境で、どう働いていきたいのか。それが実現できる職場はどんなところなのか? こういうことを、しっかり見定めることが、復職成功の秘訣だと思います」
 復職についてアドバイスする小林さんの目は、しっかりと前を見据え、充実感にあふれていた。

 

 

 

[終わり]

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